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星の鳥

chibipiyo.exblog.jp

存在に、気づいて

いつ頃だっただろう。
祖父の家に家族で行き、私は一人、昼寝をしていた。

ふと、意識が戻ったのだがまだ眠くて目を閉じたままでいると
続きになっている隣の隣の部屋からの会話が聞こえてきた。

「〇〇(母の名)は、▲(弟の名)の方がかわいいみたいや」と、父の声。
「うん、そうやな」と、母の声。

ああ、やっぱりな。
日々の暮らしの中の態度でバレバレや。
でも私も弟が好きだから、何とも思わなかった。

「でもワシは■(私の名)の方が気になるけどな、やっぱり女の子やし」と、父が続ける。

そっか、お父さんは私の方を思ってくれているのか。
ちょっと救われたなぁ。

その数年後、伯母さんからこんな話を聞いてしまう。

母が弟を妊娠したとき、つわりが辛くて思わず「もう嫌だ堕ろしたい」と漏らした。
その時父は、
「男の子やったら、どうするんや!」と母を叱ったという話。

…なんだ、やっぱり父も男の子の方が大事なんじゃないか。
両親共に弟が一番なのか…。

悲しくはなかったし、弟に嫉妬もしなかった。
なぜなら私も弟が一番大事だと思っていたから。
むしろ、家族全員が弟を一番に思っているんだなぁ、と思った。

同時に、誓った。
将来子供が出来ても、決してどっちが好きとか大事とか、口にしないことを。
私のように、偶然耳に入ってしまうケースもあるのだ。

私は両親をさほど好きではなかったし、弟が大事だったから何事もなかった。
それでも記憶に残ってしまうほどの影響があるのだから
子供の性格によっちゃあ、グレるよ??
# by chibitamatebako | 2010-08-01 01:37 | 昔話
人に相談をしないタイプ。
辛いこと、聞いてもらったって楽になんかならないと思っていたから。
どうせひとつずつ自分で解決していくしかないでしょう?

辛い出来事も何もかも、飲み込んだまま大人になった。

もっと早く彼らの音楽に出会えていたら
もっと楽に暗闇からも出られたかもしれないけれど、
それはそういう巡り合わせだから。


彼らの唄で、彼らの音で、彼の声で
飲み込んだまま心のそこで固まっている痛みを
少しずつ砕いていくような

乾いた部分には、水を
固まった部分は、少しずつ小さく
弱い部分は、包み込むように

癒されていく
時には痛みを伴うけれど
彼らが私の飲み込んできたものから
声で 唄で 言葉で 音で
私自身を救うちからを届けてくれるの



勇気はあるのだろうか 一度手を繋いだら
離さないまま外まで 連れていくよ 信じていいよ



…ありがとう。
# by chibitamatebako | 2010-07-23 15:01 | BUMP OF CHICKEN
その日は雨でした。
なんとなく電話で呼びつけた主人が病院に着いた頃
すでに分娩室にいました。

かなりの安産でした。

彼女は2532gしかなく、小さな子でした。
ひとつに繋がっていた命が、2つに離れたその時
彼女の人生は始まったのです。

転がったと言っては喜び
こっちを見て笑ったと喜び。
彼女が何かできるようになるたびに幸せを感じました。

赤ちゃんだった。
その彼女は、今日、4歳になりました。
いつの間にか一人で着替えができるようになっていたり
トイレも自分でできるようになっています。
まだまだダメな部分も多いけれど
すっかり大きくなりました。

日付が変わる瞬間は、娘を抱いていました。
半分寝ている娘に、話しかけていました。

「大きくなったね」「かわいい3歳だったね」「いい子だったね」
ウトウトしながら彼女は頷いてくれました。

ありがとう。
私の娘として私のところへやってきてくれて。
彼女が誕生日を迎えるたびに思う、感謝の言葉。
# by chibitamatebako | 2010-07-18 03:27 | 家族
私はアトピーを持っている。
子供を産んで、ひどくなった。

自分の体が嫌いで…汚いと思うにつれ
自分自身が嫌いになり、ストレスでまた悪くなる。

辛くて、主人にも言えなかった。
服を着ているだけで、ひりひり痛むの。
かわいい我が子を、痛みをこらえながら抱いていると。
自分がダメになりそうで限界を感じた時に
思い切って医者に診せたいと主人に告げると驚かれた。
そんなに辛かったのかと。

たとえ医者でも、体を見せるのは怖かった。
かさかさで血の滲んでいる体は、誰が見ても汚いと思った。
受付を済ませても、順番が回ってこなければいいと願った。

思い切って見せた。
大人だから精一杯平気なフリをして…。
でも、医者は驚かずに頷いてくれた。
医学書を開いて、多くのアトピーの症例を見せてくれた。
ああそうか。この人は、見慣れているんだ。
私なんかよりずっとひどい人も診てきたんだよ。
この体を、汚いなんてちっとも思わないんだ。
辛さもわかってくれるんだ。

気持ちが楽になった。
お薬で治ると言ってもらえて、治したいと思った。
この痛々しい状態の自分を労わろうと思えた。

他の病院だけど、今も私は定期的に皮膚科に通っている。
今日はちょっと酷い目だね。
今日は前回よりきれいになってるね。
堂々と体を見せられて、少しの言葉をもらうことが、
私の心を救ってくれるから。
# by chibitamatebako | 2010-07-12 03:14

夢は、無かった。
本当になりたいものなんか、無かった。

周りの大人たちには
「通訳になりたい」
と言った。
でも、本当の夢なんかじゃなかった。

通訳になって、世界を飛び回って。
世界のどこかに、住むところを探したかった。
誰にも知られないように探して、誰にも知られないように家を出て。
行方不明、家出、なんとでも呼んで。
今まで私を知っていた人達なんか、誰も要らない。

誰も私のことを知らない場所で
私への先入観のない人達の中で
真っ白な自分として、今までの人生を生き直したかった。
捨てるつもりだった。
親も友達も。本気で。

結局通訳にはなれず、普通の会社員を経験した後
お嫁に行った。

あの頃ほどの思いではないけれど
『結婚』というカタチで親や友達から遠く離れられたことを
嬉しく思う反面
『一度も本当の夢を持ったことが無かった』ことを
残念に思う。

ねぇ、藤君。
あなたがうらやましい。
なんて輝いて見えるんだろう。

『それがまさに生きていく理由 何かを賭して手にするもの
傷つきながら しがみついて離せない それだけのもの』



# by chibitamatebako | 2010-07-04 21:00

by chibitamatebako